訴訟対応について弁護士に依頼するメリット

訴訟・紛争対応

様々な業種の企業の皆様から、次のようなご相談をいただいています。

  • 「契約上のトラブルで取引先と協議してきたが、平行線のままなので訴訟をすべきか」
  • 「取引先の顧問弁護士から内容証明郵便で訴訟を提起するとの警告を受けた」
  • 「訴訟はできれば避けたい。訴訟以外にどのような法的手続きがあるのか」
  • 「裁判所から訴状が送られてきたが、どのように対応して良いか分からない。」
  • 「取引先から訴訟提起されたが、勝敗の見通しが知りたい」
  • 「労働問題で従業員ともめており、訴訟提起するとも言っているがどうすればよいか」

一般的に、訴訟(裁判)は多大な時間と費用がかかります。また、訴訟は書面の準備や出頭などで多くの労力を費やすことになるため、本業に影響がでるおそれがあります。

さらに、訴訟をしているというだけで、対外的な評判を落としかねません。ですので、企業としては極力、訴訟は回避すべきでしょう。

しかし、ときには取引先などからいきなり不当な訴訟を提起されたり、自社の正当な利益を守るためには訴訟を選択せざるを得ない場面もあります。

以下では、訴訟ではどのような対応が必要となるのか、訴訟の流れ、弁護士に訴訟対応を依頼するメリットなどをご紹介します。

訴訟について

訴訟とは

一般に「訴える」とか「裁判をする」という言い方をすることがありますが、これは「(民事)訴訟」のことをいいます。

「訴訟」とは、私人間で解決できない法律トラブルについて、権利を主張する方(原告)がその権利の実現を求めて、相手方(被告)に対して主張を述べ、相手方(被告)も自己の主張を述べて、裁判所に最終的な判断(判決)を下してもらうための手続きをいいます。

「訴訟」をする意義・目的は、自分の主張する「権利の実現」にあります。例えば、売買契約が成立して商品を取引先に納品したのに、取引先がその代金を支払わない場合は、代金として「金〇〇万円を支払え」というように主張して、売買契約が成立したことの証拠を提出し、裁判所に売買契約が成立していて取引先に商品の代金支払義務があることを認めてもらえるように活動します。

裁判所が、取引先に商品の代金支払義務があると認めた場合は、「金〇〇万円を支払え」という「判決」が下されます。

また、「判決」が下される前に、双方が合意すれば「取引先には金〇〇万円の支払義務があることを認める」といった「和解」が成立することもあります。

そして、「判決」であっても、「和解」であっても、その後に相手方が代金を支払わない場合は、その「判決」などに基づいて強制的な処分(強制執行:預貯金の差押えなど)の手続きを行うことで、代金を確保することができます。

なお、判決確定後や和解成立後は、同じ当事者間でその事件を再度裁判所に審理してもらうことはできませんので、その事件は最終決着を見ることになります。

このように、訴訟は、一方の主張する権利の有無を裁判所に最終判断してもらうための公的な手続きをいいます。

訴訟のおおまか流れと必要な対応

① 原告が裁判所に訴状を提出

原告が自分の法的主張を記載した「訴状」を作成して、裁判所に提出します。

訴状には、自分の法的主張を充足するための法律要件にそった事実関係を、裁判所に理解してもらえるよう、簡潔に分かりやすく記載します。

② 裁判所での訴状審査、第1回口頭弁論期日の決定、被告への送達

裁判所は訴状を受理し、通常1週間程度で、訴状に不備がないかを確認します。

不備があれば、原告に補正(修正)を指示します。

不備がなければ、原告に連絡をして第1回の口頭弁論期日を決定し(通常1か月後程度)、被告に訴状を送達のうえ、その期日に出頭するよう指示されます。この段階で、被告は「自分が訴えられたこと」を知るとともに、訴訟開始となります(これを訴訟係属といいます)。

③ 被告が答弁書を提出

被告は、訴状を受け取った後、原則第1回の口頭弁論期日の1週間前までに、訴状に記載された事実関係の認否(認める・認めない)や、事実・法律問題に関する自己の主張を記載した「答弁書」を裁判所に提出するよう指示されます。被告は原告の主張を争うのか、どの点を争うのか、被告自身の主張はどのようなものかを明らかにします。

なお、被告はいきなり訴えられたうえ、一方的に第1回口頭弁論期日を指定されていますので、答弁書では「原告の請求を棄却するとの判決を求める。追って主張・反論する」などと簡潔に記載したり、第1回期日には出頭しなかったりすることも認められており、そうすることが比較的多いです。

④ 裁判所による審理

その後、第2回口頭弁論などが開かれますので、それに合わせて原告・被告は自己の主張を記載した「準備書面」という書面や「証拠」を提出し、裁判所による審理が進められます。

「証拠」は書面だけではなく、必要に応じて、自分に有利な証言をしてくれる「証人」を呼んで尋問(質疑応答のような形式で、その人が知っている事実が聴かれます)したり、当事者がそれぞれ尋問をしたりもします。

裁判官にもよりますが、近時は、裁判官と当事者双方が1つのテーブルを囲んで行われる「弁論準備手続」という非公開の手続きで審理が進められることが多く、争点整理やより柔軟な協議などを行うことにより事件の解決に向かっていきます。

公開の法廷に比べて、裁判官や相手方とフランクに話すこともできるため、裁判官がどのように事件を捉えているか(裁判官が事件の見立てや印象などをつぶやくこともあります)、どちらに有利な結論になりそうかを知る絶好の機会ともいえます。

なお、裁判期日は、おおむね1か月に1回のペースで開かれ、原告と被告が、順番に、主張と証拠を出し合います。そのため、訴状提出から解決までに1年以上かかることも少なくありません。

⑤ 和解協議

原告と被告から、ひととおり主張と証拠が提出された後、裁判官が「和解をする意向はあるか」と当事者に聞いてくることが多いです。また、当事者が和解の希望を出すこともあります。

民事訴訟は、明確に白黒をつける「判決」だけではなく、より柔軟な解決を図れる「和解」という方法で解決することも多くあります。

裁判官が和解の提案をしてくる場合、事件の見立て、つまり「どちらを、どの程度勝たせるべきか」といった心証を持っていることが多いです。

裁判官によっては、「原告の請求全額は認められないが、50%は認められると考えている。50%の和解でどうか」などと、事件の見立てや和解案をストレートに開示してくれる裁判官もいます(事件の内容や、裁判官のキャラクターにもよります)。そのような場合は、当事者は、「和解したほうがよいのか」または「判決をもらうべきか」を検討して、裁判官に意向を伝えます。

当事者が裁判所を介して和解協議をした結果、双方合意に至れば「裁判上の和解」が成立し、訴訟は終了します。和解が成立すると裁判所によって「和解調書」が作成されます。これには、「被告は、原告に対し、〇〇万円の支払義務があることを認める」などと和解内容や支払時期、方法等が記載されます。

「和解調書」には、判決と同じ効力がありますので、万一相手方が義務を履行しない場合は、強制執行(例:預貯金の差押え等)の手続きを取ることができます。

⑥ 判決言渡し

和解協議で合意に至らなかった場合には、弁論終結となり、裁判所が原告と被告の双方の言い分を吟味して、判決を下します。弁論終結から判決言い渡しまでの期間は、事案にもよりますが、一般的には2か月前後です。

⑦ 控訴・上告

判決が言い渡されても、その日に勝敗が確定するわけではなく、判決正本を受け取ってから2週間以内であれば、判決を不服として上級裁判所に訴えることができます(控訴・上告といいます)ただし、裁判の種類によっては、上級裁判所に訴えることができない場合があります(例:少額訴訟など)。

訴訟をするメリット・デメリット

「訴えられた」場合は、自分の法的利益を守るために受けざるを得ないのですが、「訴える」場合は、メリットばかりではなく、デメリットやリスクもあるため、「自分の主張が100%正しい」と思っても、弁護士に相談するなど、まずは落ち着いて慎重に検討することをおすすめします。

そのうえで、訴訟以外の紛争解決方法もあわせて検討し、訴訟も含めて最適な手段を選択する必要があります。

以下では、「訴える」場合のメリット、デメリットを解説します。

メリット

① 最終的な解決ができる

訴訟を提起して「判決」が確定した場合、または「和解」で解決した場合、以後その事件を再度蒸し返して争うことはできないため、最終的な解決ができます。

なぜなら、同じ事件を何度も審理することは、裁判所に手間をかけるばかりか税金の無駄遣いともいえるため、裁判の制度上そのような蒸し返しは禁止されているのです。

ですので、「白黒をはっきりつけたい」というような場合は、訴訟提起を考えてもよいかもしれません。

② 勝訴すれば権利が実現できる

勝訴の判決が下された場合、原告は、被告に対して、判決に基づいて金銭を請求できるなど、自己の権利が実現できます。

また、被告が原告の請求などに従わない場合は、裁判所の力を借りて強制執行(例:預貯金の差押え等)の手続きを取ることができます。

③ 迅速な義務(債務)の履行が期待できる

訴訟を提起した場合、相手方は自分が不利だと認識するに至った段階で、判決を待たずに支払や和解による解決を申し出ることがあります。

なぜなら、自分が不利だと分かったのに、裁判を続けてもよい結果が期待できないからです。

その結果、想定していたよりも早く相手方の義務(債務)の履行がなされることもあります。

デメリット

訴訟提起をした場合、いいことばかりではなく、次のようなデメリットもあることを理解したうえで実行することをおすすめします。

① 時間、手間、お金がかかる

訴訟提起から判決確定までに1年以上かかることも少なくありません。また、事案が複雑であったり、対立が激しいような場合は解決までに数年要することもあります。

また、弁護士を立てずに自分で訴訟をする場合、提出書類の作成や証拠収集などで多大な労力(手間)が必要となります。

さらに、訴訟提起する場合、裁判所に手数料や郵便切手代などの訴訟費用を納付するほか、戸籍謄本等の証拠取得や、弁護士に依頼している場合は弁護士費用もかかります。

② 証拠がない(少ない)場合は敗訴することもある

「100%自分の主張が正しい」と信じていても、その証拠がない(少ない)場合、または立証がうまくいかなかった場合は敗訴することもあります。訴訟は、証拠に基づいて事実が認定されますので、証拠がないまま「事実はこうだ」と主張しても裁判所は認めてくれません。

その結果、実際には原告の主張どおりの事実が存在したとしても敗訴してしまい、残念な結果となることがあります。

③ 相手との関係が決裂することがある

訴訟を提起された場合、相手となる被告は、いわば「ケンカを売られた」ような気持ちになりますので、それ以後の相手との関係が決裂することがあります。

最初からそのつもりであればよいのですが、例えば、「事件は解決したいが訴訟以降も取引を継続したい」と考えているような場合は、より慎重に訴訟で事件を解決すべきかを検討したほうがよいでしょう。

④ 精神的な負担になる

訴訟は、月1回程度のペースで開催されますので、近時はWEBで手続きが行われることも多いとはいえ、出頭すること自体がいろいろな意味で負担となります。

また、公開の法廷で裁判官や相手方から尋問を受けることもあり、精神的な負担を感じる方も多いです。

さらに、相手方が提出してきた書面には、事実に反することや、攻撃的な内容が記載されていることもあるため、感情のコントロールが難しくなり、精神的な負担となってしまう場合もあります。

弁護士に訴訟・紛争対応を依頼するメリット

当事務所の弁護士に訴訟・紛争対応をご依頼いただいた場合の進め方とメリットをご案内します。

1 訴訟を提起したい場合

① 最適な法的手段のご相談・選択

「訴訟を提起したい」とのご相談をいただいた場合であっても、まずは「訴訟が最善策か」をご依頼者様と相談しながら慎重に判断し、最適な法的手段を選択します。

具体的には、まず紛争の原因、経緯、相手方との関係などの事実関係や、手元にある証拠について詳しくお話を伺います。

そのうえで、「相手方にどのような法的主張・請求ができるか」、「訴訟と訴訟以外(例:督促手続、調停等)の方法ではどちらが適しているか」、「解決までにかかる費用と時間はどのくらいと見込まれるか」、「訴訟とした場合の見通しはどうか」などをご相談者に可能な限りお示しします。

そして、「訴訟が最善策である」と判断される場合に訴訟提起をおすすめします。

当事務所にご依頼いただいた場合、訴訟提起を含めて、最善の法的手段を検討・提案することを目指します。

② 訴訟準備

訴訟を提起することでご依頼様が納得された場合、速やかに訴訟準備に入ります。

具体的には、訴状作成に必要となる事実関係をさらに詳しく伺い、必要な証拠をご提供いただくとともに、弁護士自身も可能な証拠収集を行います。

当事務所では、「訴訟はご依頼者様との二人三脚」でうまくいくと考えています。

事件の事実関係はご依頼者様しか知り得ないため、その事実関係を詳細に弁護士に伝えていただきます。それを受けて、弁護士は最適な法的主張を検討し、勝訴の可能性を高めるために尽力します。

その過程でご依頼者様と弁護士との「共に闘う」という連帯感が生まれ、ご依頼者様に安心感をもっていただくことを常に目指しています。

③ 勝訴及びご依頼者様の利益の最大化を目指した訴訟活動

ご依頼者様と訴訟提起を決定した後は、当然ながら勝訴を目指した弁護活動に努めます。また、訴訟の過程で相手方から提出された主張書面・証拠、裁判所の訴訟指揮や言動などから、「勝訴の可能性はどのくらいか」をさらに見極めていきます。

勝訴が相当程度確実と見込まれる案件であれば、勝訴判決の獲得を目指して結審まで訴訟活動を遂行します。

一方で、「完全な勝訴は難しい」、「敗訴の可能性もあり得る」と判断される場合は、ご依頼者様と相談のうえ、例えば、納得できる水準で和解するなど柔軟な訴訟活動を行うことで、ご依頼者様の利益の最大化を目指します。

④ ご依頼者様の利益の確保

仮に勝訴判決を得ても、それがゴールではなく、あくまでも「きちんとお金を払ってもらう」など、判決どおりにご依頼者様が利益を得られるような法的対応を最後まで責任をもって遂行します。

例えば、相手方が判決後も支払いを拒んでいるような場合は、すみやかに強制執行(例:預貯金の差押え等)の手続きを取ります。

また、訴訟前・中においても、相手方が財産を消費、隠匿するおそれがあるような場合は、財産を仮差押えするなど、ご依頼者様の利益確保に向けた法的手段を講じます。

2 訴訟を提起された場合

① 請求棄却に向けた弁護活動

訴訟を提起された場合は、受けて立つしかないのですが、有効な防御・攻撃をしなければ「敗訴」する可能性があります。

当事務所にご依頼いただいた場合、訴状を詳細に分析し、ご依頼様から詳しく事実関係を伺ったうえで、「争点はどこか」、「反論すべきポイントはどこか」、「こちらに有利な事実関係や証拠は何か」、「訴訟の見通しはどうか」などをご依頼様に可能な限りお示しします。

そのうえで、ご依頼様と協力しながら、請求棄却に向けた最善の弁護活動を講じます。

② ダメージの最小化を目指す

訴訟提起された場合、理想的な終わり方は「請求棄却」(=被告の全面勝訴)ですので、それを目指した最善の弁護活動を行いますが、事案によってはそれが困難な場合もあり、最悪のケースとして「請求認容」(=被告の全面敗訴)となるリスクもあります。

当事務所では、被告に不利な事案であっても、例えば、判決前に原告にも利益のある交換条件を提示して和解を提案するなどして、被告であるご依頼様のダメージの最小化を目指します。

当事務所にて対応可能な訴訟(一例)

以下では、当事務所にて対応可能な訴訟(「訴える」「訴えられた」のいずれも可)の一例をご案内します。その他にも対応可能な訴訟案件がありますので、お気軽にご相談ください。

  • 各種代金等の請求(例:売買代金、業務委託料、リース料、サービス代金、賃料、貸金)
  • 契約上の履行請求(例:目的物の引渡し、登記移転、保証債務)
  • 契約違反行為(例:各種損害賠償、契約不適合責任、違反行為の差止請求)
  • 不法行為に基づく損害賠償請求(例:交通事故、犯罪被害)
  • 仮処分(例:預貯金・給与債権・不動産等の仮差押え、工事禁止仮処分)
  • 労働関係(主に使用者側。例:未払残業代請求、損害賠償請求)

まとめ

以上、解説しましたとおり、「訴訟を提起したい場合」も「訴訟を提起された」場合も、訴訟がどのような手続きであり、どのように対応すればよいのかを知らないと、予期せぬ不利益が生じる場合があります。

当事務所では、訴訟になる前に、紛争の未然防止に向けた法的アドバイスや、極力訴訟を回避するためのサポートを行います。また、実際に訴訟になった場合にはご依頼様の利益の最大化を目指した柔軟な訴訟追行や、最適な解決策の提案を行いますので、お気軽にご相談ください。

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