滞納賃料の回収と建物明渡し・立ち退き
不動産管理会社・仲介業者、不動産オーナーの方からのご相談で最も多いのが、「賃料を滞納されて困っている」、「建物を明け渡して立退いてほしい」、「滞納された賃料を回収したい」というものです。
以下では、賃料を滞納されたケースを中心として、建物明渡請求ができる場合やその方法、滞納賃料の回収、弁護士費用などについてご案内します。
解決実績
当事務所には、多くの滞納賃料の回収、建物明渡の実績があり、得意分野の1つとしています。これまでにご依頼いただいた滞納賃料の回収、建物明渡ともに100%成功しております。
解決実績の一例を以下でご紹介します。
•約400万円の滞納賃料(10か月分・事業用テナント)を、2か月で全額回収
•約150万円の滞納賃料(15か月分・個人)を、毎月10万円の分割払いで全額回収(公正証書も作成)かつ交渉から2か月で明渡しを完了
•約60万円の滞納賃料(10か月分・個人)を、毎月3万円の分割払いで全額回収(訴訟にて和解解決)、かつ交渉から1か月で明渡しを完了
建物明渡請求について
建物明渡請求とは
建物明渡請求とは、長期にわたって賃料を滞納したり、賃貸借契約に違反するような迷惑行為をしたりする入居者を賃貸物件から立退きさせるための手続きをいいます。
建物明渡請求が認められるためには
長期間にわたる賃料の滞納など、賃貸人(大家さん)と賃借人との信頼関係が破壊された場合、賃貸人は、賃貸借契約を解除したうえで賃借人に明渡しを請求することができます。
賃借人がアパートやマンションの一室を借りて生活している場合、その居室が生活の基盤となりますので、賃貸人は理由なく賃借人を退去させることはできません。そのため、一般的には1~2か月程度の賃料の滞納であれば、何らかの事情で支払いが滞っている場合もありますので、建物明渡請求は認められません。
目安としては、賃料を3か月以上滞納している場合や、過去に何度も賃料を繰り返し、現在も2か月程度滞納しているような場合は、信頼関係が破壊されたとして、明渡請求が認められる可能性があります。
建物明渡請求の方法
賃料を滞納している場合の建物明渡請求には、次の2つの方法があります。
① 交渉などで任意に明渡請求をする
賃借人と交渉できる場合、まずは交渉によって任意に物件の明渡しを請求します。具体的には、電話・メール、文書口頭や書面で滞納賃料の支払いを請求します。賃借人に悪意がなく、単に振込を忘れていた場合などであれば、素直に支払いに応じることもありますので、その場合は賃貸借契約を継続します。
賃貸人の滞納賃料の支払請求に応じない場合は、内容証明郵便で滞納賃料の支払を請求し、支払いがない場合は賃貸借契約を解除することを通知します。
内容証明郵便を受領した賃借人が、支払いに応じれば賃貸借契約を継続しますが、それでも支払わない場合は契約を解除して建物明渡を求めていきます。
なお、内容証明郵便は、一般的に受領した人に一定のプレッシャーを与えることができるとともに、賃貸人が賃借人に賃料支払いや退去を求めていたことの証拠となります。
② 裁判によって明渡請求をする
賃借人との交渉や、内容証明郵便による通知をもってしても賃借人が滞納賃料の支払いに応じない場合は、賃貸借契約を解除のうえ、立退きを求めます。
それでも任意に立退きをしない場合は、次の方法として裁判によって明渡請求を行います。裁判所によって、賃貸人の主張が認められた場合、賃借人に退去を命じる判決が下されます。また、判決が出る前に、「〇月末までに建物を明渡します」などといった和解が成立して、それに従って賃借人が立退くこともあります。
判決または和解成立後も賃借人が退去せずに居座っている場合は、裁判所に「強制執行」の申立てを行い、裁判所の執行官が賃借人の荷物を外に運び出し、強制的に賃借人を退去させることができます。
裁判による明渡請求を検討すべきケース
いざ裁判となると費用と時間がかかりますので、できるだけ交渉などで任意に物件を明け渡してもらうのが望ましいですが、裁判による明渡請求を検討した方がよい場合もありますので、以下でご紹介します。
① 長期の賃料滞納などがあるケース
長期の賃料滞納(目安として3か月以上)や、滞納を繰り返すようなケースでは裁判による解決を選択したほうがよい場合があります。
長期の賃料滞納や、滞納を繰り返す賃借人の場合、賃料の支払能力やその意思に問題があるケースがあります。特に、故意に滞納しているような場合は、悪質性が高く、「どうせ支払えないから、強制的に退去させられるまで居座ってやろう」などと開き直っていることもありますので、任意の交渉で明渡請求をすることが難しいことが多いです。
このような悪質なケースでは、賃貸人との信頼関係は破壊されていると考えられますので、すみやかに裁判手続きをとり、強制的に立退きをさせて、新たな賃借人を迎えるのが賃貸物件の管理としては得策です。
② 著しい迷惑行為を行っているケース
例えば、夜中に大音量でテレビを見たり、ごみなどを共用部分に大量に放置したり、近隣住民に暴言を吐いたりなど、著しい迷惑行為を行っている賃借人に対しても、契約違反として契約を解除したうえで、裁判による解決を選択したほうがよい場合があります。
このような迷惑行為を行う賃借人がいる場合、他の入居者がそれを嫌がって退去してしまうことがあります。また、そのような風評があると新たな入居者が見つかりにくく、空室率が高くなるリスクがあります。
そのため、このような迷惑行為を行う賃借人は放置せず、すみやかに対処することが大切ですが、交渉による解決が難しい場合は、躊躇することなく裁判による解決を目指したほうがよいでしょう。
ただし、賃料の滞納の場合と異なり、写真や録音データなどで客観的な事実関係を証明できるよう準備することが必要ですので、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。
③ 重大な契約違反行為があるケース
例えば、賃貸借契約で明確に禁止されているペットの飼育や、増改築、転貸(又貸し)、目的外使用などの重大な契約違反行為があるケースで、交渉などでも態度を改めない場合も、裁判による解決を選択したほうがよい場合があります。
このようなケースも、放置すると他の入居者が転居してしまったり、物件に不測の被害が生じるなどのリスクがありますので、専門家である弁護士に相談したうえで、すみやかに対処すべきです。
裁判による明渡請求のメリット、デメリット(リスク)
メリット
〇 建物明渡と賃料回収が可能となる
長期間の家賃滞納などの客観的事実が認められる場合、裁判所によって建物明渡を命じる判決が下されます。また、裁判のなかで建物明渡の和解が成立することもあります。ですので、裁判とした場合は、問題のある賃借人を立退かせることが可能となります。
さらに、滞納賃料についてもあわせて裁判で請求して判決を得ることにより、強制執行(給与の差押えなど)により回収できることとなります(ただし、家賃滞納者は、経済的に困窮していることが多々あり、完全には回収できないケースも多いといえます)。
デメリット(リスク)
① お金と時間がかかる
第1に、お金と時間がかかります。
お金は、裁判所に支払う費用(印紙代、郵便切手代など)のほか、弁護士に対する費用(着手金・成功報酬・実費)も発生しますので、少なくとも数十万円の多額の費用がかかります。また、判決後も賃借人が立退きをしない場合は、裁判所によって強制執行手続きをしてもらう必要があり、さらに費用がかさみます。
時間的には、弁護士に相談などしてから強制的に裁判による判決などで立退きをさせるまでに少なくとも数か月はかかるのが一般的です。当然、その間にも賃料相当額の損害が発生していますので、回収すべき金額も大きくなり、結果的に回収が困難となる場合もあります。
② 賃借人が開き直ることがある
第2に、賃借人が開き直った態度に出て、賃貸人に不測の損害が発生するリスクがあります。
当事務所の弁護士の経験上、賃料が滞納されている場合、失業や収入の減少などで賃料が支払えず、かといって賃料の安い物件に引越するお金もないため、やむを得ず居住を続けているケースが多いといえます。
このような場合、賃借人の事情や考えが分からないまま裁判を起こしてしまうと、「もうどうにでもしてくれ」というように賃借人が開き直ることがあります。その結果、賃借人が荷物を置いたまま夜逃げをしたり、自己破産をしたり、他の人を住まわせたりするケースもあり、賃貸人が想定していなかった新たなリスクが発生する可能性があります。また、「賃貸人から訴えられた」などと逆恨みされてしまうことも考えられます。
このようなリスクを発生させないためには、賃料の滞納が少ない段階(目安は2か月滞納)から弁護士に相談し、滞納が続いた場合の対策を準備しておくことをおすすめします。
滞納賃料の回収
滞納賃料がある場合、賃借人に対して口頭や書面にて支払いを督促します。特に、書面の場合、賃借人にプレッシャーを与えて賃料の支払を促したり、後日の証拠とする意味でも内容証明郵便が適しています。
当事務所の弁護士の経験上、滞納賃料が多額となっている場合は、賃借人に経済的余裕がなく、「どうにでもしてくれ」、「居座れるだけ居てやれ」などと開き直っている場合も多くあり、もはや支払うつもりが全くないようなケースもありますし、事実上全額回収することが困難な場合もあります。
そのため、賃料回収が困難となる前に、「2か月分滞納」となった段階で、すみやかに対処することをおすすめします。
また、その場合、賃貸人ご本人で対応するよりも、弁護士を代理人とすることで賃借人に本気度を示すことができ、結果的に回収がスムーズにいくことがあります。
当事務所の弁護士は、賃料(債権)回収のノウハウと経験がありますので、安心してお早めにご相談ください。
弁護士に依頼するメリット
建物明渡請求を弁護士に依頼した場合、弁護士費用がかかりますが、それ以上に次のようなメリットがあります。
① 迅速な明渡が期待できる
弁護士は、賃貸借契約に関する法律や不動産の専門知識があり、適法な手続きにそって、迅速に賃借人との交渉や裁判手続きを進めることができます。
その結果、賃貸人ご本人が賃借人と交渉などをするよりも、迅速かつ円滑に明渡を実現することが期待できます。
② 賃料回収が期待できる
弁護士が入ることで、賃借人もプレッシャーを感じて任意に支払ってくることがあります。また、任意に支払わない場合でも、弁護士の権限で行うことができる財産調査や、裁判や差押えなどの法的手続きを通じて、賃料回収の可能性が高まります。
③ 賃借人と直接やり取りをしなくてすむ
賃料を滞納している賃借人の場合、開き直ったり、ヤケになっているような場合もあり、賃貸人が直接交渉などを行うことが困難であったり、精神的なストレスが大きい場合があります。また、当事務所の弁護士の経験上、賃貸人から電話やメールをしても無視して連絡が取れないケースも多くあります。
弁護士費用
建物明渡請求に関する当事務所の弁護士費用の一例をご案内いたします。
個々の事案の難易度などにより変動する場合がありますが、その場合は、ご依頼者様と相談のうえ、ご納得いただいてから弁護士費用を定めます。
1 ご相談料
初回のご相談に限り、1時間無料です(※1)。
なお、初回相談が1時間を超えた場合、又は2回目以降のご相談料は、次のとおりです。
法人のお客様※2 | 30分毎に11,000円(税込) |
※1 お電話・メールでの具体的なご相談はお受けしておりませんので、ご了承ください(基本的に対面でのご相談となります)
※2 個人のお客様は、30分毎に5,500円(税込)です。
2 家賃滞納による建物明渡請求
ご依頼内容 | 弁護士費用(税込) |
交渉 着手金 (賃借人との交渉、滞納賃料請求、内容証明郵便による解除通知を含む) |
165,000円 |
訴訟 着手金 | 330,000円 (交渉から引き続き訴訟に移行する場合は、追加着手金として165,000円のみいただきます) |
明渡強制執行 追加着手金 ※1 | 110,000円 |
占有移転禁止仮処分命令申立 手数料 | 110,000円 |
明渡完了 報酬金 | 330,000円 |
家賃回収 報酬金 | 回収できた家賃の22% |
※1 弁護士費用とは別に、裁判所が明渡の強制執行手続き行う場合、裁判所に対して支払う費用として予納金65,000円(東京地裁の場合。他の裁判所は異なる場合があります)、賃借人の荷物の撤去などに要する費用が数十万(建物の広さや荷物の量にもより異なります)あります。
日当
弁護士が交渉に赴いた場合、または調停・訴訟で出頭した場合、3回までは無料です(着手金に含まれています)。4回目からは、1回につき33,000円の費用が発生します。
実費
弁護士が交渉・訴訟等で外出する場合の交通費、印紙・切手代、戸籍謄本・住民票・登記簿謄本などの取得費用等の実際に必要となった経費をご負担いただきます。
3 上記1以外の契約違反(用法違反、無断転貸、迷惑行為など)による建物明渡請求
事案の難易度などに応じて、上記1の着手金・報酬金に一定額を加算させていただきます。契約違反の内容などにより異なりますので、詳しくはご相談・依頼時にお見積もりします。
4 顧問料(法律顧問プランのご案内)
法律顧問プランのご相談に限り、1時間無料にてご相談をお受けしておりますので、お気軽にご連絡ください(紛争案件等のご相談の場合は、通常の法律相談料をいただきます)。
不動産会社、管理会社、不動産オーナー様等につきましては、家賃滞納、迷惑行為など不動産に関して、顧問契約を締結することで、日常的に電話、メール、面談でお気軽にご相談いただけます。また、簡易な書面作成、賃貸借契約書等チェックは顧問料に応じた時間の範囲内で無料かつ優先して対応します。
個別の不動産トラブル案件について代理人として受任する場合は、通常よりも弁護士費用を5%~20%低く設定しています。
顧問料は,事業の規模や業務量に応じて、月額33,000円(消費税込)から設定しています。どうぞお気軽にお問い合わせください。
法律顧問プラン
内容/プラン | ライトプラン | 標準プラン | 充実プラン |
顧問料 (月額・税込) |
33,000円 | 55,000円 | 110,000円 |
ご対象企業・個人事業主 | 個人の不動産 オーナー向け | 比較的少人数の 不動産会社、管理会社向け | 比較的人数の多い 不動産会社、管理会社向け |
ご相談・作業時間 (月)※1、2 |
2時間 | 4時間 | 10時間 |
ご相談方法 | 電話・メール・面談(WEBも可) | ||
ご相談時間 | 原則、当事務所の営業時間内 (但し、緊急時には、休日・夜間も対応可能) |
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従業員様の個人的なご相談 | 初回1時間法律相談無料(福利厚生として活用可能)※3 | ||
顧問先割引 (着手金・報酬金を割引※4) |
各5% | 各10% | 各20% |
ホームページへの顧問弁護士名の表示 | 可 |
※1 「ご相談・作業時間」を超過した場合、通常の企業向けご相談料(11,000円/30分毎)をいただきます。
※2 ご相談に関して、弁護士が書面作成するなどの「作業時間」を含みます。
※3 従業員様のご家族の相続のご相談など、会社を離れた個人的なご相談に限ります。例えば、従業員様からの労務に関する相談など、会社と従業員様の利益が相反するようなご相談はお受けできませんので、予めご了承ください。
※4 従業員様からご相談を受け、受任した案件についても同様に着手金・報酬金を割引します。
建物明渡請求のまとめ
以上、賃料滞納を理由とした建物明渡請求を中心に解説しました。
賃料滞納を理由とした建物明渡請求は、賃貸借契約に関するトラブルのなかで最もご相談が多く、賃貸物件のオーナー様や管理会社様などが頭を悩ませることが多い問題といえます。
深刻なトラブルとなる前に、「賃料滞納2か月」を目安に、すぐに不動産に精通した弁護士に相談することをおすすめします。当事務所の弁護士は、これまで訴訟なども含めて多くの建物明渡請求を行い、解決に導いてきましたので、お気軽にご相談ください。皆様からのご相談をお待ちしています。